ベトナムからおよそ45トンのコメを密輸しようとしたとして逮捕された、
東大阪市のベトナム国籍の女性経営者・チャン・ティ・トゥ・フェン容疑者(36)。
警察の調べによると、フェン容疑者はベトナム食材の輸入・販売を手がける会社を経営しており、
その事業ルートを利用して違法な取引を行っていた疑いがもたれています。
本記事では、彼女が運営していた会社の実態・ビジネスモデル・密輸との接点について、現在分かっている範囲で詳しく解説します。
事件の概要

2025年6月、ベトナムから日本に船便でおよそ45トンのコメを密輸しようとしたとして、
大阪府警は、ベトナム国籍の会社経営者 チャン・ティ・トゥ・フェン容疑者(36) と、
その夫である 武重智之容疑者(47) を逮捕しました。
容疑は 関税法違反 および 植物防疫法違反。
押収されたのは、段ボールおよそ2300箱分にもおよぶ大量のコメで、
大阪港に到着した2つのコンテナの中には、手前に「緑豆」が詰められ、
その奥にコメが隠されていたことが発覚しました。
輸入時に必要な「植物検査証明書」には、
本来提出すべき「コメ」の証明ではなく、関税が安い「緑豆」のものが添付されていたといいます。
フェン容疑者は、これまでにもベトナム産の緑豆や果物を輸入・販売していた実績があり、
この既存ルートを利用してコメの密輸を偽装していたとみられます。
警察は、密輸したコメを“国産米”と偽って販売していた可能性も視野に、
今後、販売経路や取引先を中心に捜査を進めています。
一方でフェン容疑者は逮捕前の任意の聴取に対し、
「コメが入っているとは知らなかった」
と供述していたと報じられています。
しかし、税関検査の結果や輸入記録の内容から、
警察は計画的・組織的な密輸の可能性を否定していません。
チャン・ティ・トゥ・フェンのプロフィール

- 名前:チャン・ティ・トゥ・フェン(Tran Thi Thu Phuong)
- 年齢:36歳(2025年10月時点)
- 国籍:ベトナム
- 性別:女性
- 在住地:大阪府東大阪市
- 職業:食品輸入販売会社の経営者
- 逮捕容疑:関税法違反・植物防疫法違反
- 逮捕日:2025年10月6日
- 共犯者:夫・武重智之容疑者(47歳)
- 容疑:ベトナムから船便で約45トンのコメを密輸しようとした疑い
チャン・ティ・トゥ・フェンの会社はどこ?
報道によれば、彼女の経営する会社名は 「フレッチ(Fletch)」 という名称で、食品の輸入販売を手がけているとのこと。
大阪府東大阪市を拠点に、ベトナムからの青果・食材の輸入販売業を行っていたとされています。
主な取扱品目は以下の通りです。
- 緑豆(ムング豆)
- ドラゴンフルーツやマンゴーなどの果物
- ベトナム野菜(空芯菜、香草類など)
- 加工食品やスパイス類
このような商品は、全国のベトナム食材ショップや飲食店向け卸、
さらにSNS販売(Facebook・Instagram)などを通じて流通していたとみられます。
ベトナムとの取引ルート
フェン容疑者の会社は、現地ベトナムの小規模農家や市場と直接取引をしていたとみられます。
輸送は海上コンテナ便(船便)を使用。
大阪港や神戸港を経由して食材を輸入し、日本国内で販売していたとのこと。
今回の密輸事件では、その輸送ルートを利用し、
「緑豆」として申告した荷物の奥にコメ約45トン(段ボール約2300箱)を隠していたとされています。
通常、輸入食材には「植物防疫法」に基づく検査証明書(フィトサニタリ証明)が必要ですが、
フェン容疑者らは関税の安い緑豆の証明書のみを提出。
これにより税関のチェックをすり抜けようとしたとみられています。
会社のビジネスモデルとSNS販売
フェン容疑者は日本在住のベトナム人コミュニティを中心に、
SNSを活用した直販ビジネスを展開していました。
FacebookグループやInstagramなどでは、
「新鮮なベトナム野菜」「海外直送」「現地の味そのまま」といった
キャッチコピーで投稿を行い、国内在住者からの注文を受け付けていたとみられます。
この販路を利用して、密輸したコメを“国産米”や“国内精米済み商品”として販売していた可能性があると警察はみています。
チャン・ティ・トゥ・フェンは夫との共同経営?

夫である武重智之容疑者(47)も逮捕されています。
フェン容疑者の会社では、夫が輸送手配や通関関連の事務を担当していたとされ、
夫婦で輸入事業を分担していた形跡があります。
夫婦経営による輸出入会社は、在日ベトナムコミュニティの中でも多く、
人脈を活かした小規模流通ルートを形成しているケースが多いです。
しかし今回は、その仕組みが不正輸入の温床になってしまったとみられます。
今後の捜査焦点
警察は、
- 過去の輸入履歴
- SNS販売記録
- 帳簿や取引先情報
を徹底的に調べています。
もし過去にも同様の密輸が行われていた場合、
組織的な犯行として立件される可能性も。
さらに、販売先に“国産”と偽って販売していた証拠が見つかれば、
景品表示法違反や詐欺罪にも発展するおそれがあります。
まとめ
チャン・ティ・トゥ・フェン容疑者が経営していた輸入販売会社は、
一見まっとうなベトナム食材ビジネスを装いながら、
裏では関税逃れの密輸ルートを利用していた疑いが強まっています。
小規模事業でも国際取引を行える時代だからこそ、
“透明性”と“法令順守”がこれまで以上に問われることになりそうです。

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